ソリューション / 海洋音響

海洋音響による生態系・環境の可視化

海中の状態は、目視では継続的に捉えられません。水中の音を機器内のAIで分類し、海の生態系・環境・人間活動を可視化します。

サウンドスケープとは

サウンドスケープ(音風景)とは、ある環境に存在する音の総体を指します。海の中は光が届きにくく目視が難しいため、音は生態系・環境・人間活動を知るための有力な手がかりになります。

サウンドスケープ生態学では、環境音を発生源によって次の3つに分類して捉えます。私たちはこの枠組みで海の状態を読み解きます。

生物音(バイオフォニー)

魚類・海生哺乳類など、生物が発する音。

地球物理音(ジオフォニー)

風・波・雨・地殻変動など、非生物的な自然の音。

人為音(アンソロフォニー)

船舶・建設・ソナーなど、人間活動に由来する音。

こうした環境音をハイドロフォンで受動的に録音・解析する手法を、パッシブ音響モニタリング(PAM)と呼びます。私たちはPAMにエッジAIを組み合わせ、海の状態を可視化します。

課題:海の中は見えない。だから測りにくい。

海洋開発や保全の現場では、水中騒音の影響評価、生物の分布把握、生態系の状態モニタリングが求められます。しかし海中は光が届かず濁りもあり、目視や映像だけでは広い海域を継続的に捉えることができません。

従来の水中音観測は、係留型レコーダーを一点に固定して後から回収する方式が主流でした。これでは多点・広域・準リアルタイムの把握が難しく、得られたデータも解析に時間がかかります。

海中は光が届かず目視や映像では捉えにくいこと、および従来の係留型レコーダーによる水中音観測の課題(一点しか測れない・回収まで結果が分からない・解析に時間がかかる)と観測フローを示した図

解決:音を「分類」して、海を「可視化」する。

私たちは、録音した音を機器内のAI(深層学習)で「生物音・地球物理音・人為音」などに分類し、位置・水深とともに扱います。録音そのものを送らず分類結果を扱うことで、固定インフラに依存しない音響モニタリングを実現します。

動物搭載型・係留型・製品搭載型(LoggLaw CAM)を目的に応じて組み合わせ、結果をアニマルポータルを基盤とした専用ポータル上でサウンドスケープマップとして可視化し、環境アセスメントや保全の意思決定に使えるデータにまとめます。

録音した音を機器内AIで分類する仕組みを、動物搭載型・係留型・製品搭載型(LoggLaw CAM)の3つの観測手段、アニマルポータルを基盤とした専用ポータルでのサウンドスケープ可視化、環境アセスメント等への活用例とともに示した図

音 → 分類(AI) → 可視化のパイプライン

ハイドロフォンで水中音を取得01 · 録る

ハイドロフォンで水中音を取得

動物搭載型ロガー・係留型レコーダー・ハイドロフォン搭載の LoggLaw CAM で、海中の音を現場で収録します。

エッジAIで音源を判別02 · 分類する(AI)

エッジAIで音源を判別

深層学習が音を「生物音・地球物理音・人為音」などに分類。録音そのものではなく分類結果を扱うことで、広域・準リアルタイムの観測を可能にします。

音から海の状態をマップ化03 · 可視化する

音から海の状態をマップ化

分類結果・位置・水深を、アニマルポータルを基盤とした専用ポータル上で統合し、サウンドスケープマップとして可視化します。

3つのソリューションと導入ルート

入口はオフライン解析です。監視したい海域が明確なら固定式ブイへ直行できます。どこを観測すべきか分からない場合は、移動式バイオロギングによる探索をオプションとして挟みます。ブイの収録データは解析へ還元され、3つは相互に連携します。

オフライン解析入口
初期調査

オフライン解析

お客様の問い

「この海域に希少種がいるか知りたい」

既存の録音データをAIで解析します。リアルタイム性が不要な入口の調査で、まず海域の状態を把握します。手持ちのデータを活かせるため、低コストで始められます。

海域が明確なら固定式ブイへ直行
観測地を探索したい(オプション)
移動式バイオロギングオプション
観測候補地の発見

移動式バイオロギング

お客様の問い

「どこにブイを設置すべきか分からない」「未知の生息地を発見したい」

生物目線で重要な場所の音響を観測します。動物搭載型ロガーが、固定インフラでは届かない海域を探索し、定点観測を置くべき場所を明らかにします。

設置場所を特定
固定式ブイ定点監視
リアルタイム監視・保全

固定式ブイ

お客様の問い

「確認された希少種の継続的な出現を監視したい」(政策連携・漁業制御)

定点での長期観測とリアルタイム分類を行います。動的な漁業規制エリア(Dynamic MPA)や政策連携など、継続監視を前提とした運用に直結します。

予算やタイムラインに応じて、必要なソリューションだけを選び、段階的に広げられます。

固定式ブイの収録データは、データ解析・レポート納品・リアルタイム通知として継続的に還元されます。

領域別のユースケース

音響モニタリングの使いどころは、産業・行政・研究で異なります。

洋上風力・港湾の環境アセス/監視

洋上風力・港湾の環境アセス/監視

課題

洋上風力の建設・稼働や港湾開発では、水中騒音や海洋生物への影響評価が求められます。固定式レコーダーを一点に置くだけでは、広域・多点・準リアルタイムの把握が困難です。

アプローチ

パッシブ音響モニタリング(PAM)で工事中・稼働中の水中音と生物の鳴音を継続観測。海域の音環境をマップ化し、環境アセスメントと順応的管理の根拠データを提供します。

水産・漁業・養殖

水産・漁業・養殖

課題

漁場環境や対象種の分布・行動は目視だけでは捉えにくく、養殖場の環境モニタリングにも継続的なデータが必要です。

アプローチ

生物の鳴音や環境音から、対象種の在・不在や活動、環境変化の手がかりを抽出。資源・漁場・養殖環境の評価を音響データで補強します。

生物多様性・TNFD・ブルーカーボン

生物多様性・TNFD・ブルーカーボン

課題

企業・自治体は海洋の自然資本・生物多様性の開示(TNFD)や、藻場・干潟などブルーカーボン施策の効果測定を求められますが、海中の状態を定量化する手段が乏しいのが実情です。

アプローチ

サウンドスケープ指標で生態系の豊かさや変化を可視化。TNFD開示やブルーカーボン・藻場再生の効果検証に使える定量データを整備します。

研究機関・保全団体

研究機関・保全団体

課題

海洋保護区(MPA)の管理や希少種の保全には、対象種の在・不在や音環境の長期データが欠かせませんが、固定インフラの設置・回収はコストが高くつきます。

アプローチ

動物搭載型・係留型の両方で音響観測を設計・実施。希少種の検出やMPAの状態評価を、機器メーカーとしての一次開発力とともに支援します。

現場へのインパクト(タイ・ウミガメ実証より)

フェーズ1のタイでの実証は、研究成果にとどまらず、現地社会への波及効果まで生みました。

Facebook動画の再生
285万回+Facebook動画の再生放流のシーンが現地で話題となり、SNSで285万回以上再生されました。
現地NPOによる記念グッズ
Tシャツ化現地NPOによる記念グッズ現地NPOが記念Tシャツを制作。収益金はすべて環境保全活動の資金へ寄付されています。
子ども向け環境教育
絵本化子ども向け環境教育取り組みが子ども向けの絵本として展開され、次世代への環境教育につながっています。

画像:現地パートナー/NPOによる発信より(Facebook)。

共同研究・受託モニタリングのご相談

海域・目的に合わせて、実証から受託まで対応します。製品のお問い合わせとは別に、専用の窓口でご相談ください。

共同研究・実証(PoC)

観測手法の開発・実証を一緒に進めるパートナーを募集しています。対象海域・目的に合わせて実証計画を設計します。

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受託モニタリング/データ取得

環境アセスや効果測定のための音響モニタリング・データ取得を受託します。海域・期間・指標に合わせてご提案します。

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