海洋音響モニタリングによる生態系・環境の可視化
ハイドロフォンで録音した水中の音をAIで分類し、海の生態系・環境・人間活動を可視化します。目視では継続的に捉えられない海中の状態を、音から把握する海洋音響モニタリング(パッシブ音響モニタリング/PAM)です。
サービス概要
Biologging Solutions株式会社の海洋音響モニタリングは、ハイドロフォンで録音した水中音をAI(深層学習)で生物音・地球物理音・人為音に分類し、海の生態系・環境・人間活動を地図上に可視化するサービスです。世界初の動物搭載型サウンドスケープロガー(Scientific Reports, 2024)を技術的基盤とし、国内外の海域で共同研究と受託モニタリングを行っています。
- サービス内容
- 水中音の収録、AIによる音源の分類、サウンドスケープマップによる可視化
- 識別する音
- 生物音(海生哺乳類・魚類など)、地球物理音(風・波・雨など)、人為音(船舶・工事など)
- 観測手段
- 既存録音のオフライン解析、動物搭載型ロガーによる移動式観測、固定式ブイによる定点監視
- 対応海域
- 国内外を問わず対応(沿岸・外洋・汽水湖など)
- 導入例
- タイ・ソンクラー湖のイラワジイルカ保全プロジェクト
- 主な用途
- 洋上風力・港湾の環境アセスメント、水産・養殖、生物多様性(TNFD・ブルーカーボン)、研究・保全
- ご依頼の形
- 共同研究・実証(PoC)、受託モニタリング/データ取得
サウンドスケープとは
サウンドスケープ(音風景)とは、ある環境に存在する音の総体を指します。海の中は光が届きにくく目視が難しいため、水中音響は生態系・環境・人間活動を知るための有力な手がかりになります。
サウンドスケープ生態学(音響生態学)では、環境音を発生源によって次の3つに分類して捉えます。私たちはこの枠組みで海の状態を読み解きます。
生物音(バイオフォニー)
魚類・海生哺乳類など、生物が発する音。
地球物理音(ジオフォニー)
風・波・雨・地殻変動など、非生物的な自然の音。
人為音(アンソロフォニー)
船舶・建設・ソナーなど、人間活動に由来する音。
こうした環境音をハイドロフォンで受動的に録音・解析する手法を、パッシブ音響モニタリング(PAM)と呼びます。私たちはPAMにエッジAIを組み合わせ、海の状態を可視化します。
課題:海の中は見えない。だから測りにくい。
海洋開発や保全の現場では、水中騒音の影響評価、生物の分布把握、生態系の状態モニタリングが求められます。しかし海中は光が届かず濁りもあり、目視や映像だけでは広い海域を継続的に捉えることができません。
従来の水中音観測は、係留型レコーダーを一点に固定して後から回収する方式が主流でした。これでは多点・広域・準リアルタイムの把握が難しく、得られたデータも解析に時間がかかります。

解決:音を「分類」して、海を「可視化」する。
私たちは、録音した音を機器内のAI(深層学習)で「生物音・地球物理音・人為音」などに分類し、位置・水深とともに扱います。録音そのものを送らず分類結果を扱うことで、固定インフラに依存しない音響モニタリングを実現します。
動物搭載型・係留型・製品搭載型(LoggLaw CAM)を目的に応じて組み合わせ、結果をアニマルポータルを基盤とした専用ポータル上でサウンドスケープマップとして可視化し、環境アセスメントや保全の意思決定に使えるデータにまとめます。

音 → 分類(AI) → 可視化のパイプライン
01 · 録るハイドロフォンで水中音を取得
動物搭載型ロガー、定点観測用の水中音響モニタリングシステム LoggLaw NAD-W、ハイドロフォン搭載の LoggLaw CAM で、海中の音を現場で収録します。
02 · 分類する(AI)エッジAIで音源を判別
深層学習が音を「生物音・地球物理音・人為音」などに分類。録音そのものではなく分類結果を扱うことで、広域・準リアルタイムの観測を可能にします。
03 · 可視化する音から海の状態をマップ化
分類結果・位置・水深を、アニマルポータルを基盤とした専用ポータル上で統合し、サウンドスケープマップとして可視化します。
3つのソリューションと導入ルート
入口はオフライン解析です。監視したい海域が明確なら固定式ブイへ直行できます。どこを観測すべきか分からない場合は、移動式バイオロギングによる探索をオプションとして挟みます。ブイの収録データは解析へ還元され、3つは相互に連携します。
入口オフライン解析
お客様の問い
「この海域に希少種がいるか知りたい」
既存の録音データをAIで解析します。リアルタイム性が不要な入口の調査で、まず海域の状態を把握します。手持ちのデータを活かせるため、低コストで始められます。
オプション移動式バイオロギング
お客様の問い
「どこにブイを設置すべきか分からない」「未知の生息地を発見したい」
生物目線で重要な場所の音響を観測します。動物搭載型ロガーが、固定インフラでは届かない海域を探索し、定点観測を置くべき場所を明らかにします。
定点監視固定式ブイ
お客様の問い
「確認された希少種の継続的な出現を監視したい」(政策連携・漁業制御)
定点での長期観測とリアルタイム分類を行います。動的な漁業規制エリア(Dynamic MPA)や政策連携など、継続監視を前提とした運用に直結します。
入口オフライン解析
お客様の問い
「この海域に希少種がいるか知りたい」
既存の録音データをAIで解析します。リアルタイム性が不要な入口の調査で、まず海域の状態を把握します。手持ちのデータを活かせるため、低コストで始められます。
オプション移動式バイオロギング
お客様の問い
「どこにブイを設置すべきか分からない」「未知の生息地を発見したい」
生物目線で重要な場所の音響を観測します。動物搭載型ロガーが、固定インフラでは届かない海域を探索し、定点観測を置くべき場所を明らかにします。
定点監視固定式ブイ
お客様の問い
「確認された希少種の継続的な出現を監視したい」(政策連携・漁業制御)
定点での長期観測とリアルタイム分類を行います。動的な漁業規制エリア(Dynamic MPA)や政策連携など、継続監視を前提とした運用に直結します。
予算やタイムラインに応じて、必要なソリューションだけを選び、段階的に広げられます。
固定式ブイの収録データは、データ解析・レポート納品・リアルタイム通知として継続的に還元されます。
領域別のユースケース
音響モニタリングの使いどころは、産業・行政・研究で異なります。

洋上風力・港湾の環境アセス/監視
課題
洋上風力発電の建設・稼働や港湾開発では、環境影響評価(環境アセスメント)として水中騒音や海洋生物への影響評価が求められます。固定式レコーダーを一点に置くだけでは、広域・多点・準リアルタイムの把握が困難です。
アプローチ
パッシブ音響モニタリング(PAM)で工事中・稼働中の水中音と生物の鳴音を継続観測。海域の音環境をマップ化し、環境アセスメントと順応的管理の根拠データを提供します。

水産・漁業・養殖
課題
漁場環境や対象種の分布・行動は目視だけでは捉えにくく、養殖場の環境モニタリングにも継続的なデータが必要です。
アプローチ
生物の鳴音や環境音から、対象種の在・不在や活動、環境変化の手がかりを抽出。資源・漁場・養殖環境の評価を音響データで補強します。

生物多様性・TNFD・ブルーカーボン
課題
企業・自治体は海洋の自然資本・生物多様性の開示(TNFD)や、藻場・干潟などブルーカーボン施策の効果測定を求められますが、海中の状態を定量化する手段が乏しいのが実情です。
アプローチ
サウンドスケープ指標で生態系の豊かさや変化を可視化。TNFD開示やブルーカーボン・藻場再生の効果検証に使える定量データを整備します。

研究機関・保全団体
課題
海洋保護区(MPA)の管理や希少種の保全には、対象種の在・不在や音環境の長期データが欠かせませんが、固定インフラの設置・回収はコストが高くつきます。
アプローチ
動物搭載型・係留型の両方で音響観測を設計・実施。希少種の検出やMPAの状態評価を、機器メーカーとしての一次開発力とともに支援します。
現場へのインパクト(タイ・ウミガメ実証より)
フェーズ1のタイでの実証は、研究成果にとどまらず、現地社会への波及効果まで生みました。



画像:現地パートナー/NPOによる発信より(Facebook)。
このソリューションの裏づけ
査読論文で実証した技術を、量産機と可視化基盤にのせて提供しています。創業者は現役の研究者であり、基盤技術の論文著者です。
よくある質問
Q. 海洋音響モニタリング(パッシブ音響モニタリング/PAM)とは何ですか?
水中に設置したハイドロフォン(水中マイク)で、海の中の音を受動的に録音・解析する観測手法です。自ら音を出さないため生物や環境に負担をかけず、光が届かない海中や悪天候時でも継続的に観測できます。Biologging Solutionsは、録音した音をAIで生物音・地球物理音・人為音に分類し、海の生態系・環境・人間活動を可視化します。
Q. 従来の係留型レコーダーによる観測と何が違いますか?
従来は録音機を一点に固定し、回収してから解析する方式が主流でした。私たちは、通信機能を持つ構成(浮上時に送信する動物搭載型ロガーや、LTEモジュールを付けたNAD-W)では機器内のAIで音を分類し、録音そのものではなく分類結果を送ります。これにより、多点・広域・準リアルタイムの観測が可能になります。通信を使わない構成では、回収した録音をクラウドのAIで解析します。動物搭載型ロガーを使えば、固定インフラが届かない海域も観測できます。
Q. どのような音を識別できますか?
サウンドスケープ生態学の枠組みに沿って、海生哺乳類や魚類などの生物音、風・波・雨などの地球物理音、船舶・工事などの人為音に分類します。対象種の音響モデルを学習させれば、イルカのクリック音・ホイッスルなど特定の種の鳴音も検出対象に加えられます。船舶音の分類には、対象海域で録音した教師データが必要です。
Q. 対応できる海域はどこですか?
基本的に海域を問わず対応します。国内外の沿岸・外洋・汽水湖などで、観測の目的と対象種に合わせて機器構成を設計します。タイ・ソンクラー湖のイラワジイルカ保全プロジェクトでは、音響観測と監視ポータルを組み合わせた運用を行っています。
Q. 手元にある録音データだけでも依頼できますか?
はい。既存の録音データをAIで解析するオフライン解析から始められます。リアルタイム性が不要な初期調査に向いており、手持ちのデータを活かせるため低コストで海域の状態を把握できます。
Q. 洋上風力発電の環境アセスメントに使えますか?
使えます。工事中・稼働中の水中騒音と、海生哺乳類などの鳴音を継続的に観測し、環境影響評価や事後調査の根拠データを提供します。対象種や規制に応じて、校正済み測定や高サンプリングの専用機器と組み合わせた構成もご提案します。
Q. 費用や期間はどのくらいですか?
海域・観測期間・評価したい指標によって異なるため、個別にお見積もりします。オフライン解析、移動式バイオロギング、固定式ブイの中から必要なものだけを選び、予算やタイムラインに合わせて段階的に広げられます。
Q. どのような形で依頼できますか?
観測手法の開発・実証を一緒に進める「共同研究・実証(PoC)」と、環境アセスや効果測定のための「受託モニタリング/データ取得」の2つの窓口があります。このページ下部の「相談する」ボタンから、製品のお問い合わせとは別の専用窓口にお進みください。