衛星中継型データロガー

LoggLaw DiveSat

浮上した一瞬に潜水記録を Argos 衛星へ送る海洋生物用データロガー。個体を回収できなくてもデータが手元に届き、回収できた場合は本体に残る 4 秒ごとの全解像度の記録も読み出せます。位置を追う調査には、GPS を搭載した DiveSat-GPS を用意しています。

LoggLaw DiveSat-GPS 本体(上面。センサとアンテナが出る側)

LoggLaw DiveSat は、バイオロギング研究の現場で「衛星タグ」「Argos タグ」「サテライトタグ」(英語では satellite tag / Argos tag / satellite-linked data logger)とも呼ばれるカテゴリの製品です。動物に装着して潜水の記録を本体に残しながら、浮上のたびに要点を Argos 衛星へ送るため、回収を前提にできない外洋や長距離の移動の調査に向きます。

仕組み・送信するデータ・装着・実証結果・仕様を 10 ページにまとめた PDF カタログをご覧いただけますLoggLaw DiveSat カタログ (PDF)

主な特徴

浮上のたびに Argos 衛星へ送信

乾湿センサが空中を検知している間、約 60 秒間隔で記録済みのデータを繰り返し送ります。1 回の送信で送れるユーザーデータは 20 byte です。

回収できなくてもデータが届く

送信されたメッセージは Kinéis / CLS 経由で受信し、当社でデコードして蓄積します。個体を再捕獲できない調査でも、潜水の要約と位置が手元に残ります。

4 秒ごとの本体記録

深度・水温・乾湿・電池電圧を 4 秒ごとに本体へ記録します。回収できた場合は USB で接続し、直近約 8.3 日分の全解像度データを読み出せます。

1 潜水を 1 メッセージに要約

潜水が終わるたびに、深度の変化点を Broken Stick Model で抽出し、時刻と深度の組にして送ります。送る点数は最大 6 点(出荷時は 4 点)です。

DiveSat-GPS は GPS で位置を取得

両型番で得られる Argos ドップラー測位に加え、DiveSat-GPS は浮上を検知するたびに 30 ms の受信で GPS 測位を行います。送信データでの測位精度は 25 m です。

受信データは BiP 経由でお渡し

衛星経由で受け取ったデータは当社でデコードし、研究データ基盤 BiP(Biologging intelligent Platform)を通じてご提供します。

1 回の放流でロガーがすること

装着 → 記録 → 浮上のたびに送信 → (回収できれば)全データ

海に潜る動物は、息継ぎのわずかな時間しか水面に出ません。DiveSat はその浮上を乾湿センサで検知し、直前までに記録した潜水を Argos 衛星へ送ります。送れるのは 1 回あたり 20 byte なので、本体には 4 秒ごとの全記録を残したまま、送信には要点だけを抜き出して載せます。

  1. 1

    装着・放流

    甲羅などに固定し、乾湿センサショートケーブルを外して放流

  2. 2

    4 秒ごとに計測

    深度・水温・乾湿・電池電圧を本体に記録

  3. 3

    潜水ごとに要約

    潜水が終わるたびに、深度の変化点を抽出してプロファイルを作る

  4. 4

    浮上時に送信

    空中を検知している間、約 60 秒間隔で Argos へ繰り返し送信

  5. 5

    受信・デコード

    Kinéis / CLS 経由で受け取り、当社側でデコードして蓄積

回収できた場合

USB で本体に接続し、4 秒ごとの全解像度データを読み出す(直近 約 8.3 日分)

Argos は片方向の通信です。受信の確認や再送の要求はできないため、送信済みのデータを新しいものから繰り返し送る設計にしています。

想定する調査

  • ウミガメ・鰭脚類など、浮上して呼吸する動物の潜水行動
  • 回収を前提にできない外洋・長距離の移動
  • 潜水深度と潜水時間の日周・季節変化
  • 上陸・休息(Hauled out)の時間帯
  • 個体が経験した水温の鉛直分布
  • 放流後の生存確認・移動範囲の把握

向く調査

  • 回収できるとは限らない個体から、まずデータを確実に受け取りたい
  • 潜水の深さと時間の傾向を、長い期間にわたって見たい
  • 放流後の所在を、数百 m の精度で継続して知りたい(DiveSat-GPS)

別の手段を検討いただきたい場合

衛星へ送るデータ

1 回の送信で載せられるユーザーデータは 20 byte です。この枠に何を入れるかで、回収できなかったときに手元に残るものが決まります。DiveSat は用途の違う 5 種類のメッセージを作り分けます(DiveSat-GPS は測位結果の Position を加えた 6 種類)。送る順序は型番ごとに設定します。

送信するメッセージ

種別内容単位
Dive Profile潜水の深度変化を、時刻(潜水時間に対する %)と深度の組で送る1 潜水ごと
Summary潜水回数、最大・平均深度、最大・平均潜水時間、潜水時間比率、水温の最大・最小・平均、電池電圧など集計期間ごと
Hauled out陸上に滞在した記録滞在ごと
Temperature Cast水温の鉛直プロファイル取得ごと
PositionGPS の測位結果(DiveSat-GPS のみ)1 測位ごと
Temporary電圧などの状態通知上記のデータがない場合

送信の条件

送信のきっかけ乾湿センサが空中(Dry)を検知している間、送信するデータがあれば繰り返し送信します。1 日あたりの回数は固定していません。
送信間隔約 60 秒(±10 % のジッターを乗せた 54〜66 秒)
1 メッセージユーザーデータ 20 byte(誤り訂正符号を含むペイロードは 31 byte)
送る順序メッセージ種別ごとに優先度を設定します。時間帯や緯度を指定する機能はありません。
欠測の扱い個別の再送要求はできません。送信データは本体の Flash に保持し、新しいものから優先して繰り返し送ります。

送信できる量は、浮上している時間に左右されます。

1 回の浮上で送れるのは、そのあいだに完了した送信の分だけです。呼吸のたびに短く浮上する種では、1 潜水あたり 1 メッセージを送りきれないことがあります。集計期間や優先度の設定は、対象種の浮上パターンに合わせて調整します。

潜水プロファイルの送り方

本体は 4 秒ごとに深度を記録します。潜水が終わると、その記録から深度の変化点(ブレークポイント)を Broken Stick Model で抽出し、時刻と深度の組にして送ります。1 潜水が 1 メッセージになります。送る点数は設定で決めます(最大 6 点・出荷時の既定は 4 点)。

送信データの深度分解能

0 〜 2.55 m0.01 m
〜 25.5 m0.1 m
〜 255 m1 m
〜 2,550 m10 m

浅いほど細かく、深いほど粗くなる可変分解能です。送信フォーマット上の表現範囲で、本体の耐圧深度や測定レンジとは別の値です。

潜水の判定

開始しきい値深度 約 2.9 m(実装値は絶対圧 1.31 bar。4 秒周期の設定では判定までに実測 12 秒)
継続時間しきい値を 8 秒超えて継続
送信単位1 潜水 = 1 メッセージ
本体の記録プロファイルの計算に使った詳細データも保持

位置を知る

位置の求め方は 2 通りあります。ひとつは送信そのものから Argos 側で計算されるドップラー測位で、両型番で得られます。もうひとつは DiveSat-GPS が浮上のたびに取る GPS 測位で、より高い精度が要る調査に向きます。

Argos ドップラー測位

両型番
得られ方送信が衛星に受信されるたび、Argos 側で算出
精度の区分Location Class 3 〜 B(クラスごとに誤差半径が付く)
ロガー側の消費送信以外に追加の消費なし
実証での分布Class 3〜1 が 59.9 %、誤差半径の平均 937 m *1

GPS 測位

DiveSat-GPS のみ
取得浮上を検知するたびに 30 ms の受信で測位(陸上では 150 秒周期)
測位精度25 m(送信データ・衛星 5 基)*2
後処理クラウドでの解析が必要。測位支援(BAS)ファイルを事前に書き込む
実証での成功率84.9 %(404 / 476 回)*1

運用上の前提

初期測位計測開始時に屋外で初期測位を行います。通常 2〜3 分で完了します(赤 LED 点滅 → 緑 LED 点滅)。
BAS ファイル納品時に書き込み済みです。納品から 1 か月以上経過してから使う場合は、更新をお願いします。
PTT ID・利用契約Argos の PTT ID、無線局免許、Argos システムの利用料はお客様側でご手配・ご負担いただきます。
電波法上の扱い国内は実験試験局として運用します。国外での使用は各国の法規に従います。

*1: 2026 年 4〜5 月の久米島実証(ウミガメ 1 個体・DiveSat-GPS 1 台・17 日間)の結果です。個体・海域・浮上の頻度によって変わるため、性能を保証する値ではありません。

*2: 送信データは衛星 5 基分に限っているため 25 m で頭打ちになります。本体に残る記録は衛星数の制限がなく、6 基で 22 m、7 基で 20 m、8 基で 18 m と細かくなります。

装着する

本体は 115 × 75 × 42 mm、気中で約 315 g です。装着面は甲羅に沿う曲面で、上面からセンサとアンテナが出ます。浮上した一瞬に送信するため、上面を塞がない向きで固定してください。

LoggLaw DiveSat-GPS の上面。乾湿センサの電極とアンテナの根元
上面|銀色の 2 本が乾湿センサの電極で、アンテナもこの面から出ます

重量と寸法

項目DiveSatDiveSat-GPS
外形寸法(本体)115 × 75 × 42 mm115 × 75 × 42 mm
アンテナ筐体上端から 165 mm(突出し長 183 mm)筐体上端から 165 mm(突出し長 183 mm)
気中重量315 ± 10 g320 ± 10 g
水中重量約 200 g約 205 g

装着時にお守りいただきたいこと

  1. 上面にセンサと GPS・Argos のアンテナがあります。樹脂やパテで覆わないでください。
  2. 放流の直前に乾湿センサショートケーブルを外します。付けたままでは送信しません。
  3. 設定から放流まで 1 時間以上あく場合は、ショートケーブルを取り付けて電池の消耗を防ぎます。
  4. コネクタにはキャップを付け、封止用テープを貼ってから装着してください。

実証試験の結果

2026 年 4 月から 5 月にかけて、久米島でウミガメ 1 個体に DiveSat-GPS を装着し、17 日間の受信を記録しました。以下はそのときの実測です。1 個体・1 台の結果であり、性能を保証する値ではありません。

17 日
受信を継続した期間
2026-04-21 〜 05-07
2,305 件
受信メッセージ数
うち 98.7 % にドップラー測位
370 件
受け取った潜水プロファイル
04-27 〜 05-05
84.9 %
GPS の測位成功率
404 / 476 回

受信データの内訳

ドップラー測位の精度クラスClass 3: 24.1 %/Class 2: 28.2 %/Class 1: 7.6 %/Class 0: 4.4 %/Class A・B: 35.7 %
誤差半径平均 937 m(最小 150 m・最大 17,933 m)
GPS 測位との照合ドップラー測位との距離は平均 343 m・中央値 300 m(399 件)
データの健全性CRC 成功率 91.6 %。異常値は CRC 判定でほぼ除去できました
受信した衛星25 種(Kinéis の各機・O3・CS・MC ほか)

受信の量は、個体の浮上パターンと衛星の飛来に左右されます。

この試験では 1 日あたり 61〜226 件の幅がありました。低緯度海域でも受信できることは石垣島・伊良部島の試験でも確認していますが、調査海域と対象種によって条件が変わるため、事前にご相談ください。

設定とデータの受け取り方

設定は Windows アプリから行います。データの受け取り口は 2 つあり、衛星経由では送信されたメッセージが、個体を回収できた場合は本体に残る 4 秒ごとの記録が手に入ります。

衛星経由(回収を待たずに届く)

  • Kinéis / CLS のテレメトリ API から受信
  • 当社側でデコードして蓄積
  • 研究データ基盤 BiP(Biologging intelligent Platform)経由でご提供

回収後(本体から読み出す)

  • 専用インターフェースケーブル(USB)で PC に接続
  • 4 秒ごとの全センサ生データ(1 レコード 47 byte)
  • プロファイルの計算に使った詳細データも取得可能

設定と読み出し

設定ソフトLoggLawSurf DiveSat / DiveSat-GPS(Windows 11・64 bit 以上)
接続専用インターフェースケーブル。ロガー → ケーブル → PC の順で接続します
設定できること計測スケジュール、送信するデータの優先度、Summary の集計期間、潜水判定のしきい値
出力形式独自バイナリ(.blb)と、同時に変換される CSV
専用インターフェースケーブル
専用インターフェースケーブル|設定と読み出しに使います

同梱するもの

  • ロガー本体(LoggLaw DiveSat または DiveSat-GPS)
  • 専用インターフェースケーブル(設定・データ読み出し用、USB)
  • 乾湿センサショートケーブル(放流までの送信を止め、電池の消耗を防ぐ)
  • コネクタ封止用テープ(装着前にコネクタキャップへ貼る)
  • Windows アプリ LoggLawSurf DiveSat / DiveSat-GPS(担当より配布)

本体の計測データ領域はリングバッファです。

約 8 MiB を 4 秒周期で使うと約 8.3 日分で一巡し、それより古い記録は上書きされます。回収して得られるのは直近の期間の全解像度データで、それ以前の期間については衛星で送ったメッセージが残ります。

Specifications

製品の技術仕様詳細

本体

外形寸法115 × 75 × 42 mm(アンテナは筐体上端から 165 mm)
気中重量DiveSat 315 ± 10 g / DiveSat-GPS 320 ± 10 g
水中重量DiveSat 約 200 g / DiveSat-GPS 約 205 g
筐体光硬化性樹脂・充填硬化による防水
耐圧深度1,000 m
動作温度範囲-10 〜 40 ℃
時刻精度±95 s/年
メモリ24 MiB *1

センサ

構成深度(圧力)|外部温度|乾湿|電池電圧
計測周期4 秒
深度測定レンジ 1,000 m・精度 ±1 % FS/分解能 本体記録 5.5 cm 以下・送信データ 0.01 〜 10 m(内訳は「潜水プロファイルの送り方」)
温度-5 〜 35 ℃・±0.2 ℃/分解能 本体記録 0.005 ℃ 以下・送信データ 0.0024 〜 0.039 ℃ *2
校正出荷時に個体別校正(温度・圧力)

衛星通信・測位

対応システムArgos-2(401 MHz・送信出力 500 mW)
送信浮上を検知している間、約 60 秒間隔/1 メッセージあたりユーザーデータ 20 byte
送信データDive Profile|Summary|Hauled out|Temperature Cast|Temporary(DiveSat-GPS は Position を追加)
GPS 測位DiveSat-GPS のみ。測位精度 25 m・浮上検知ごとに取得
お客様手配PTT ID の取得、無線局免許、Argos システムの利用契約

電源・ソフトウェア

電池塩化チオニルリチウム 19 Ah(充電式ではありません)
設定ソフトLoggLawSurf DiveSat / DiveSat-GPS(Windows 11・64 bit 以上)
データ形式独自バイナリ(.blb)+ CSV
保証期間使用開始から 6 か月(納品から 1 年を上限とします)

*1: システム・送信データ、計測データ、詳細データの 3 領域に分けて使います。計測データ領域は 4 秒周期で約 8.3 日分のリングバッファです。

*2: 送信データの温度分解能は種別で変わります。0.0024 ℃(Summary 水温・14 bit)/0.01 ℃(Temporary・12 bit)/0.020 ℃(Temperature Cast Method 2・11 bit)/0.039 ℃(Method 0・10 bit)。

電池は空輸可能ですが危険物(Section I)扱いです。国内は実験試験局として運用し、国外では各国の法規に従います。

※ 製品の改良により仕様は予告なく変更される場合があります。

LoggLaw DiveSatについてのお問い合わせ

製品の詳細情報、価格、導入事例などについてはお気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご要望に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。